Visitasの馬塲・柴田です。 先日、株式会社エバテック様にて、社員の皆様に向けた健康講演会「医学的エビデンスから紐解くアルコールとの付き合い方」に登壇させていただきました。
「お酒は適量に」というありふれた指導にとどまらず、「なぜ日本人はお酒に弱いのか(遺伝子レベルの話)」から、「なぜ人は依存してしまうのか(社会環境の話)」まで、医学生ならではの視点で深掘りしてお話ししました。
本記事では、講演のエッセンスを一部ご紹介します。
1. 日本人の4割が背負う「遺伝的宿命」
まず、生物学的なメカニズムの解説です。アルコールは体内で「アセトアルデヒド」という毒性物質に分解されますが、これを無毒化する酵素(ALDH2)の働きには個人差があります。
実は、日本人の約44%はこのALDH2の働きが弱い、または全く働かないタイプ(不活性型)です。 顔が赤くなる「フラッシャー」と呼ばれる方々は、アセトアルデヒドが体内に蓄積しやすく、食道がんなどのリスクが有意に高まることが医学的に分かっています。
「鍛えれば強くなる」は迷信です。自分の遺伝的体質を知り、無理のない付き合い方をすることが、将来の健康を守る第一歩です。
2. 依存症の背景にある「生きづらさ」
後半は、馬塲が研究テーマとしている「社会精神保健学」の視点から、アルコール依存症の背景についてお話ししました。
依存症は、単なる「意志の弱さ」ではありません。 近年注目されているACEs(小児期逆境体験)の研究では、幼少期の虐待や家庭の機能不全といったトラウマが、成人後のアルコール依存リスクを劇的に高めることが示されています。
「依存は、苦痛から逃れ、生き延びるための鎮痛薬だったのかもしれない」
この視点を持つことで、依存症への偏見をなくし、早期に「助けを求める(AUDIT等のスクリーニングを受ける)」ことの重要性をお伝えしました。
3. 新しいライフスタイル「Sober Curious」
最後に、あえてお酒を飲まない選択をする「Sober Curious(ソバーキュリアス)」という新しい価値観を提案しました。 健康、睡眠の質、そして自分の時間を大切にするために「シラフを楽しむ」というスタイルは、欧米を中心に若者の間で広まっています。
Visitasが目指すもの
私たちVisitasは、在宅医療をテクノロジーで支えるスタートアップですが、根底にあるのは「医学的エビデンス」と「患者様の人生背景への理解」です。 今回の講演のように、身体的なメカニズムだけでなく、その人が抱える社会的な背景(Big Picture)までを捉える視点を、プロダクト開発にも活かしてまいります。
株式会社エバテックの皆様、貴重な機会をいただきありがとうございました。
